「りーおっ」
…と、そんな時。
何やら楽しげな三人の声を聞きつつも、もう一人の陽気なそれが私の耳に入ってきた。
黒髪。甘いマスク。……晄だ。
ヒラヒラと手を振りながらニコニコとこっちに向かってくるあの男は、さっきまでの女達はどうしたんだというほどにその身一つ。
「あ、晄だ」
「今日もイケメンねっ!」
「……出た」
まるでアイドルの登場のように歩いてくる彼に向かって、三者三様の呟きが落とされて。
周りの女達の視線を独り占めするかのようにカツカツと足を進ませてきた晄は、誰でも無い私の前に立ち止まる。
「…上、行こ?」
また、どんな風の吹きまわしかと思った。
「さっきの女の子達は?いいの?」
「うん。いーの。煩くなっちゃって、帰した」
「また…?」
「お願い。ちょっとだけ。莉央がいーの」