毎度ながらそれは好都合だ。

理由は知らないが、隣で悔しそうにする美織を眺めて"勝った"と思った。

けれど、




「…いやぁぁぁぁあん!莉央に美織ぃぃ!」




それにもう一人。

この街西地区で有名なNo.3が地面を揺らして走ってくるではないか。

只管に物凄い勢い。オカマの豪太だ。



「豪太…」




そう呼べば、



「イヤア"ア"ア"ア"!!!!そんな男みたいな名前で呼ばないでって言ってるでしょ?!!!」



コイツは毎度毎度大激怒してくるから、この場面だけは笑える要素があると思う。

クワッと目を見開いて、紫のアシンメトリーをグルングルンと回す豪太はもうめちゃくちゃ必死で。

全く変な人間ばかりだ。



「分かったよ……ゴウちゃん」

「…ああん。たまらないわねぇ」

「アーシついてけねぇわ」



呼べば頬を両手で包んでクネクネし始めるし、私と美織はガン萎えしてゆくのだから妙な空気になるもんだ。