……この空間にいるのも苦痛だし……。

「先生っ……体調が悪いので、保健室に行ってもいいですか……?」

「……じゃあこの問題を解いたらいいわよ」

「やっば!せんせーそりゃないよ」

 カチカチとチョークが黒板に当たる音が聞こえる。

 黒板に書かれたのは、数学の高校二年生の問題だ。

 私は高1だから、解けるはずがない。


 だけど、実は最近塾に通わせてもらっているから、こんな問題なんて簡単になっていた。

 問題を解き、席を立つ。

「では、すみませんっ……抜けますっ……うっ……」

「大丈夫か?」

「樹くん?あ、ごめん。お姉ちゃんからのお願い、聞いてくれる?」

「……ん。なに?」

 私はコソコソと樹くんの耳元で小さい声で話した。

「留くんと周くんを探してくるから、先生には秘密にしておいてもらえるかな」

「はぁ!?」