「れ、蓮お兄ちゃん聞いて!!!」
「なんだ?」
「あのね、ちがうの!!だから——」
「告ったんだろ!!」
はぁ……留、わざとやってんのかよ……。
「ち、ちがうよ留くん……!!」
「……ちょっと、留話を遮ったらダメだろう」
「父さん……?」
あーよかった、父さんがきて……。
「莉乃ちゃんは、周の俳優の手伝いをしてたんだ。それでたまたまそのシーンだった」
「……そうだったのか?、莉乃」
「うん……ごめんね、なんか勘違いさせて……」
まったく、少しは怒っていいのに、莉乃は……。
自分が誤解を解こうとして遮っていたのは留なのに、なんでそれでも申し訳なさそうにするんだ……。
あー……でも、やっぱそんなところも好きだなぁ……。
「はぁ……よかった……」
「蓮、急に部屋に入らないで」
「あーごめんごめん」
「留も」
「チッ」
舌打ちは返事になってねぇっつーの……。
「いいな?」
すごくウザそうに頷いた周。
でも……莉乃がきてから、俺達兄弟は、なにか浄化されて言っているというか、心が綺麗になっているというか……。
なんとなく、穏やかになっていっている気がする……。
そんなことを考えながら、莉乃との練習を再び始めた。
ふふっ、昨日は練習、なんだかんだ言って楽しかったなぁ。
そして、私は朝学校に向かっている最中。
「おはよう、莉乃ちゃん」
「わわっ……!!おはようございます……!!朧さん……!!」
「もー……朧ちゃんにしなさいよ、それに、敬語もやめて」
「あ、う、うん……!!私のことは、呼び捨てにしちゃって全然いいからねっ……!!」
「わかったわ。莉乃」
「ふふっ、うん!」
この子は、おんなじクラスの琳堂朧ちゃん。
実は、つい最近、暴走族に絡まれているところを助けたので、『命の恩人』的な人って思われるようになった。
別に、人として当然のことをしただけなのになぁ……。
と思いながらも、お友達になって欲しいと言われたので、お友達になった。
だけど、仲がどんどん仲良くなって、いまとなっては大事な親友に!!
でも、お上品なお嬢様だから、思わず敬語を使ってしまう。
「……あなた、神坂の令嬢なのに、高級品1つ付けてないわよね。まぁ、制服が高級だけれど」
「あはは……引っ越し祝いとかそういうかんじで服とかアクセサリーは貰ったんだけど、可愛いし高そうだったから、なにか大事な時に着ようと思ってて……。」
「はぁ……本当いい子ちゃんねぇ」
「えへへ、ありがとう」
私達はそう言っていつものように教室に向かった。
【side 朧】
莉乃は、私の初めての友達。
嘘偽りのない、可愛い強い友達。
出会ったのは、つい最近。
***
『!二階堂朧!』
『……』
はぁ……また絡まれるわ……。
『ははっ、お前を使って金はいくら取れるかなぁ』
それは多分0円ね。
『……!あ!!knight!!』
『あ?お前誰だよ』
『りゅ、留くんのお姉ちゃんです!』
『はぁ?総長の?』
『そうですけど……』
『は?ふざけんなよ、笑わせんなお前みたいなブスがあの総長の姉な訳ねぇだろ』
……そういえば、神坂理事長再婚したのよね……?
そして、転校してきたのはこの子だから、本当に……。
でも、理事長の奥さんはだいぶの美女だったけど……。
まぁ、私には関係ないから気にすることはないわね。
『証拠はあんのか?』
『えっと……確か……』
『っ!!』
急に、神坂さんはすごい速度で暴走族の1人の後ろに周り、首ら辺にハサミのようなものを止めた。
『えっと……折り畳みしきハサミです。すみません、別に殺る気とかないんですけど、変な人がいたら誰にでもこうしろってお兄ちゃん、蓮お兄ちゃんに言われたので』
『ふ、副総長に……!?』
『えへへ、信じてもらえましたか?——あ、逃げていっちゃった。』
さ、さすがに怖すぎるわっ……。