「おいーっす!」


ドアの前に突っ立っていた私の後ろから現れたのは、髪の毛が短くて、なんでか泥まみれで、見るからに陽気そうなオーラが漂っている男子だ。



「洋平、遅い」

「悪い悪い、ちょっと部活に顔出してきた。いや、つーかまだ全然集まってねぇじゃん」


私を通り過ぎてドカっと椅子に座ったその人は、暑そうに制服の首元をパタパタさせて風を通す仕草を見せる。


制服、土で汚れてる。

部活って何部なんだろう。


「ん?」


わっ、目が合った!


「なんだよー、そんな見つめられると照れるじゃんよ~。まぁ見とれちゃうくらいイケメンだっつーのは認めるけどな!ははは!」

「……ははは。」

「つーかそんなとこ突っ立ってないで、こっち座ったら?」

「あ、はい。じゃあお言葉に甘えて、失礼します」

「おうおう、律儀な後輩だな。座れ座れ!」

「いや、座るのに洋平の許可はいらないだろ」


教室の中央に置いてある、長テーブル。

そこの端の椅子に座ってみるも、どうしたって気持ちも体も縮こまる。


「あとはごっつと西沢さんか」