「他の立候補者とは違い、私は推薦されて今演説をしています」



この演説が私の人生を変えることになるなんて、一体誰が想像出来ただろう。



「推薦です。本当にただ推薦されただけなんです……」



運命が、人生が、未来が大きく変わる瞬間なんて、そんなのわかるはずもない。



………だけど。



ねぇ先輩、覚えていますか。


恋なんて知らなかった私が、生まれて初めて恋をしたあの日々を。


先輩のことばかりを考えて、先輩のことばかりを追いかけて。


2人で入った多目的室で、隠れてキスをしたあの日のことを。



泣いて、壊れて、叫んで、苦しくて。


それでも信じていたあの日のことを。


夢みたいに儚かった幸せも、胸が張り裂けるほどの痛みも、


全てはこの日。


この瞬間から始まったことを。



覚えていますか?



ねぇ、先輩……