「……どいつもこいつも、」
ボソリと呟いた丞くんが湊を一瞬だけ睨んだ。
だけどすぐに私に視線を移す。
「……また後で、花」
ニコッ、
そう言って湊の手を振り払い、背を向けた。
「花!大丈夫!?」
「鞠…う、うん!大丈夫だよ!ありがと」
すぐさま私の手を擦り出す鞠。
凄く心配そうに顔を顰めた。
「…っ、ちょっと!あんた!!来るならもっと早く来なさいよ!」
湊を指差した。
威嚇してるように見えちゃう。
「鞠、落ち着い…」
「花もよ!危機感が足りないのよ!お馬鹿!!」
「ご、ごめんなさい…、」
ズキン、
ジンジンと痛みを増す左手。離れたはずなのに…丞くんに握られたこの手がまだ痛む。
……どうしてこんな事したんだろ。
「痛むのか?」
「え?」
湊の手が、私の左手を握る。
暖かくて少し汗が滲んでいる大きな手の平。
「…遅れて悪い、」
伏せる目と眉間に寄る眉。
そんな湊を前に私は、顔を逸らした。
─────顔が赤くなってる気がしたから。
手に触れてるだけなのに。
今までして来た事なのに…意識してしまう。
申し訳なさそうにしてる湊を前に、こんな顔するなんてどうかしてる…!
「う、ううん。大丈夫…こうして来てくれただけで、」
………あれ?でも待って?
和と湊、さっきまで…。
「待って!?試合は!?」
バスケはどうしたの!?