「……なんで、俺だけ見てくれない?何が駄目なんだ?どうして?」




ブツブツと呟く留華の声は振り始めた雨の音で消えてゆく。

遠くから聞こえる数人の足音が留華の方へ、段々と近付いて来た。


男はそれに気付き、拳銃を取り出した。




「老闆!」




何も用意しない留華に男は叫んだ。

何故なら周りには、黒い仮面を付けた数人が拳銃や刀を持つ”刺客”がいたから。



慌て構える男と、ただ静かな留華。



──────次の瞬間、



パァンッ!!



大きな音は本降りの雨よりも大きく響き渡った。

驚く男と刺客。
視線は留華の方を向いている。



ぐしゃっ、と前髪を掻き上げ、据わった目でそこにいる全員に向け殺気を送る。




「…俺のもん、だって事…どうしてもわからないなら、分からせるしかないな」




ニコリ、と笑顔を向けた。
強い殺気に全員が後退りする。





「待ってて、お嬢。すぐ迎えに行くから」







***