子供みたいだと、言ったら…怒られるかな?
…でも何となく子供みたいだと思ってしまった。
悪いことをして怒られた、子供みたいだと。
「私は別に怒ってないよ?
傷付いてないって言ったら噓だけど」
真っ赤な顔。
熱で充血している目。
私はリヒトさんの両頬の手で包み、そして…、
ムニッ!
頬を摘まみ、伸ばした。
状況を理解できず目を見開くリヒトさん。
「過去は変えられないから、ママはもういないし、悲しくて辛い過去も全部消えない。
でも、未来は変えられるんだよ?
自分の意志で全部変わるの。
だからちゃんと確かめないと」
リヒトさんの前で両手をパーにした。
ひらひらと目の前で振る。
「後悔する前に言葉に出さないと。人間っていつ居なくなるか分からないんだから」
そう言って、ニコッと笑った。
「……っ、言えるでしょうか…」
「うーん。分かんない!だって私リヒトさんじゃないからね!」
「フッ…、確かにそうですね」
「あっ、そうそう。私は五十嵐千夏じゃなくて、”五十嵐花”だから、ね!」
ククッと笑いを堪えるリヒトさんは、心の底から笑っている気がした。