──────…なに、それ。



出て行こうとするリヒトさんに向かって、大きく振りかぶる。

投げたのはさっきの包帯。取る気満々で弄ってたからおかげですぐ取れた。


それは当たる事無く避けられたけど。



「……なんですか」


「私、リヒトさんに何もしてないじゃない!」


「…はあ?」



何故か首を傾げる素振りをする。

いや!それ私がする方だよ!きっと!

ま、まあ確かに!?
勝手に触れようとしたのは悪い事だと思うよ!?


だからって…!



「そうやって…女だから全員同じって決めつけないで!」



人間だもの。沢山の性格がある。優しいにも十通りがあるように…全員同じなわけじゃない。



「……別に、決めつけてるわけでは……」

「嘘付き!私の事知らない癖に嫌いって決めつけてる癖に!」



笑顔だけど…なんだか違うのに気が付かないと思ったのかな。

お生憎様!今まで沢山のパパの知り合いに会って来たお陰で分かるの。


リヒトさんが…私に一度も”笑顔”を向けてくれないことぐらい。




「…………貴女が、千夏さんの…娘だから……」




え…?



「リヒトさ…!?」




その場で、壁伝いにズルズルと座り込んだ。
慌てて近寄ると顔がかなり赤い。



っ、やっぱり…。