「…痛ッ…!」



リヒトさんは暫く呆然としていたが、手を抑える私を見てハッと我に返る。



「っ、す、みません」



そう言って、私の右手を掴んだ。


叩かれた右手が真っ赤に腫れている。
ジンジン、と段々と痛みが増す。



……そうだった。「私からは触るな」って、言われてたんだった。



「だい、じょぶです。ごめんなさい、触ろうとして!」



あはは~なんて笑ってるけど。
多分変な笑い方になってると思う。



その後、リヒトさんは私の手に湿布と剥がれないようにって態々包帯を巻いてくれた。

かなり大袈裟に見える怪我になってしまった。



………大袈裟、かもしれないけど。

正直打撲した時よりも痛かった…なんて絶対言えない。

…でも邪魔だから後で外そっと。




「……すみません」

「ううん、私が悪いから大丈夫!」



元はと言えば、私がー…ね。


「それより、頭痛くない…ですか?それか、熱っぽいとか!」

「……なんですか、それは」


さっきまでの申し訳ない顔とは打って変わり、眉間にしわを寄せた。



「え?だって…」

「もしかしてそう言えば私に触れるとでも思ったと?」

「そんな事思ってないよ。ただ顔色が悪そうに見えて、」

「私の肌が無駄に白いからそう思ったと?女みたいな顔をしていて、弱そうだとでも言いたいのですか?」

「そんな事思ってないよ!私はただ…!」

「──────どうでもいいです」



私を睨むサングラス越しの威圧感にビクリとした。




「貴女の戯言などに微塵も興味ありません。
……私をこれ以上不快にさせないでください。


ただでさえ…”女”というだけで忌まわしいというのに」