調べて来てくれたのかも。
言う必要なかったかな。


「えっと…酒井さん?」

「もう酒井ではありませんので、そう呼ばれるのは癪です」


酒井じゃない?



「苗字が変わったって事?」

「…………今は母方の方を名乗っていますので」




何か、合ったのかも。
聞かない方がいいよね…。



「あ、の!大丈夫です!理由は聞かないので…!」

「ああ、こちらも聞かれても言いませんのでご安心ください」



そう言った後で、また溜息。

溜息し過ぎで幸せ逃げちゃいそうな人だなぁ~…。



彼はハッとした様子で咳払いをした。




「…改めまして。本日より五十嵐花さんの用心棒として仕える事になりました。


リヒト・ヤルヴィネンと申します。
以後お見知りおきを」




そう言って胸に手を当て、頭を下げた。


えっと…、



「や、やる…ヤルヴェネンさん??」

「……ファーストネームで構いません」



あ…もしかして発音間違えたかも…?