「離してよー!!」


足をバタつかせたがこれにも全く気にも留めていない様子。

それどころか…。



「あまり足を酷使すると、怪我が長引きますよ」



なんて言って来る。


じゃあ離してくれたらいいのに!



「和!湊!助けて!」



背中と地面、それと叫ぶパパの姿しか見えなかった。

でも二人なら助けてくれると思ってた。
だからパパに負けないよう叫んだ。



────だけど、どれだけ言っても何も反応がない。



…っ、和?湊?



「彼女の鞄を返していただけますか」



反対の肩に掛かる私のバッグ。



「や…やまと!みなと…!」

「部屋に戻りましょう。本日からは私がいますので、五十嵐花さんは自室へ行きましょう」



なんで。なんで…。



「ああそれと、一つ御忠告を」



和と湊の横を通り過ぎた後で立ち止まり、言い忘れていたかのように話し始めた。