「────…って。待って!」
留華の部屋の手前。廊下の真ん中で立ち止まった。それに合わせ、留華も止まる。
…留華の部屋にはいけない。
行きたくない。
「……さっき、何してたの?
あいつは確か、右京組の倅だったかな?
そいつと抱き合って、何をしていたのかな?」
と、言って笑った。
「え、っと…詩歌ちゃん…春比古くんの妹が恋しくなって、」
「それで?抱き着かれた?嫌じゃなかったって事?…嗚呼、お嬢も手を回してたかな?」
質問ばかり。
全部殺気が籠ってる。
思わず後退りしてしまった。
「俺を見て。お嬢」
…見れないよ。
だって、怖い。
「……お嬢、俺の事嫌いになった?」
っ―――…!
「そんなこと!」
「無いよね。だってお嬢は俺の事好きだから、ね?」
否定したのは留華だった。
顎の下に乗せられた手と、不敵に笑う留華の顔が近付いて、
────唇が重なった。