…もしかして。
私を詩歌ちゃんだと思ってる?
ハッ!なるほど!
春比古くん、詩歌ちゃんが恋しいんだね!?
それなら、と春比古くんの背中に手を回した。
きっと寂しいんだ。
だって私だって…。
二人の事考えて、寂しいもの。
「────何をしてるのか、聞いてもいい?お嬢、」
ハッとした。
同時に、ヒヤリとしたんだ。
「…留華?」
ニコリ。
笑顔なのに身震いするのはきっと間違ってる。
「は、春比古くん、離し…」
「離さへんのは、花の方やろ?」
────…あ、れ?
確かにそうだった。
ぐしゃっと、握っていたのは私の方。
綺麗なスーツの襟が、私のせいでしわが出来てしまった。
「ご…ごめんね!」
なにしてるんだろ。高そうなスーツを台無しにしてしまうなんて!
「かまへんよ。せやけど…あんたは別や」
春比古くんが鋭い視線を向けたのは、留華の方だった。