───ビタンッ!
手の平が、湊の頬に当たった。
自分でも驚くほどの大きな音と速さだった。
赤く染まった頬が痛々しい。
ズキンズキンと音を立てる胸。
手の平はそれよりももっと痛い。
「……出て行って……湊の顔、見たくない…」
身体を押すが押しきれない。
…手に力が入らない。
「っ…出てってよ…!」
「……っっ、」
涙が落ちたと同時に、抱き寄せられた。一度だけ拒絶したがそれより強い力が私を包む。
「……悪い、」
…震えてる。
背中に回された手が震えている気がした。
「…お嬢、悪い。悪かった。傷付けて…。
殴っても刺しても構わねぇ…
だから、
俺から離れて行かないでくれ──、」