角度を何度も変えてキスをされる。
───…気持ちいい。
瞳が下を向く。
瞼が重くなる。
力も無くなり、抵抗も無くなった私の手を離した湊。
それでも私は何もしなかった。
代わりにしたのは──、
「んんっ…」
湊の肩に手を添えた事。
湊は何も言わず、私の頭に手を回した。
後頭部に温かみを感じる。
心地いいそれに虚ろな目になる。
…湊、
”お嬢のその夢きっと叶うよ…ううん、絶対かな?”
───ガリッ!
「ッッ…‼」
口の中で血の味が広がった。
離れた湊の唇には血が付いている。
痛みで歪む顔。
大きく見開いた瞳。
「……にすんだ」
その言葉を発するのに、大分時間を使っていた。