目を丸くして美緒を見つめる。


「アイスが食べたいの。買ってきて」


「買って来てって今からか? もうするカレーができるのに――」


「いいから買ってきてよ!」


思わず怒鳴っていた。


怒鳴ってからハッと我に返る。


目の前には大河の驚いた表情があり、うつむいた。


柊さんに怒鳴るなんて、なにしてんの私!


そう思っても、出てしまった言葉はもう飲み込めない。


重たい沈黙の中、大河が立ち上がる音が聞こえてきた。


なにも言わず玄関へと向かう足音。


そして玄関の開閉音が聞こえてきた後、ようやく美緒は顔を上げた。


広いダイニングキッチンにぽつんと1人。


「なにやってんだろ……」


カレーのいい香りが立ち込める中、美緒は小さく呟いた。