それは女性側も同じようで、こちらを見ては目をそらすということを何度も繰り返している。


でも、いつまでもここで突っ立っているわけにはいかない。


いずれ誰かに見つかってしまうかもしれないし、早く会社から出ないと!


そう考えたとき、落下したお弁当箱が視界に入った。


美緒はそれを拾い上げ、紙袋に丁寧に入れた。


「とにかく、これは届けてきましょう」


「え?」


「これがないと柊さん、今日のお昼抜きですよね?」


美緒が聞くと女性はおずおずとした様子でうなづいた。


美緒はコクンとひとつうなづき、1人で4階へと向かったのだった。