『泣かないで!俺がもうピッカピカに掃除するから!ね!』
旬佑は、そう言いながらゴシゴシと根気強く下駄箱を拭き取ってくれる。
その時まだ名前も知らないこの人はきっと私の運命の人だ、なんて場違いなことを考えていた。
『こんなもんかな?
あと、靴は?ないなら俺ので良かったらはいて!臭いけど!』
旬佑は靴箱を綺麗にした後、自分の靴を差し出して笑った。
普通に考えてら男の履き潰した靴なんて臭いし嫌だろうけど、この時の私はもう運命にときめいていて
何とか接点を作りたくて、旬佑の靴を借りることにしたのだ。
旬佑は上靴で帰ると言って本当に上靴で外に出るし。
『あ、俺3年の中原旬佑ね!』
『あ、私は大園架子です』
『あはは!敬語とかいらないよ!
てか俺ら変な出会い方だよなー!』
ニコニコとなぜ靴がないのかとか深くは聞かずに、笑って話しかけてくれる旬佑に
私はもう衝動を抑えられなくなってしまって
『好きです、付き合ってください』
と、気づいたら口走っていた。