「おい、入るぞ」






俺はノックもせずおりはの部屋に入ると
おりははベッドに丸まっていた。






「おい、何考えてんだお前。
母親が飯作ってんだろ、食えよ」






そう言いつつ丸まっているおりはの隣に腰掛けると、生意気にも毛布を被ったおりは。



いつもは素直でこんな暗いところなんて見た事がないから多少戸惑うが話を聞かないことには先に進まないと毛布を剥ぎ取ろうとするが

おりはも負けずに取られないよう対抗した。






「おい!いい加減にしろよ!
何も言わずに駄々こねてどうすんだバカ女!」



「うるさい!椛にはわかんないよ!」






おりはは今まで生きてきて聞いたことない声でそう怒鳴った。



温厚でこの世に悪なんてないと思っているようなおりはがこうなってしまうことを俺は一番恐れていたから、一瞬怒りで我を忘れそうになったが何とか踏みとどまる。




とりあえず話を聞かないことにはどうしようも無いな。




俺は何としても丸まって出てこないおりはの背中をポンポンと弱めに叩いておりはが何かアクションしてくるのを待つ。






「どこかに行ってよ…」






そんなか細い声は無視して横にい続けると
小さい声でう、う、と鳴き声のようなものが聞こえてきた。