あんまり帰りたくないな、なんて思いながらぶらぶらして帰った時には日が暮れていて、リビングに入ると叶ちゃんが心配そうな顔で駆け寄ってきた。






「大丈夫!?どこに行ってたの?」



「んー…ちょっと」



「おりちゃん、何かあった?元気ないよ?」






心の底から心配してくれている様子の叶ちゃんには申し訳ないけど

あまり話したくなくて俯く。






「おりは、ご飯食べる?」






お母さんも気を使ったのかそう言ってくれたけど、食べる気になれず首を横に振ってリビングを出た。




お母さんの顔をまともに見れない。



ずっと母だと思ってた人は本当は母じゃなくて。


もしかしたらお父さんはDVをしてたかもしれなくて。



弟のすずはも母が違う。



衝撃的で濃い内容で、誰にどう話していいか分からないし、何より私のこの気持ちはどういうのかもわからない。




とにかく苦しくて、誰かに助けて欲しい。

誰か全部嘘だと言って欲しい。



私の記憶を消して、前みたいに暮らしたい。



そう強く願いつつ、自室のベッドに横になったのだった。