誰もが息を呑んだに違いない。私も目を瞑りそうになった。
それもそのはず、芳賀さんが凛ちゃんの胸倉を勢いよく掴みにかかったのだ。

周囲からは短い悲鳴が聞こえ、仲裁に入ろうとする男子の姿も見受けられたものの、今にも殴り掛かりそうな迫力を持つ芳賀さんには誰も手も足も出せない、というか出したくないようにも見てとれた。
ずかずかと壁に追いやられた凛ちゃんは、芳賀さんの手首を掴んで抵抗を試みているけど、芳賀さんの方が何枚も上手のようだ。
さすがの凛ちゃんも力尽くな芳賀さんに圧倒されて、半泣き状態に追いやられている。


「早く謝りなさいよ!冬香の気が済むまで謝り続けて!」
「な、なんなの?」
「いいから謝れって言ってるのよ!」
「んなこと、なんでアンタに指図されなきゃいけないの!」