芳賀さんの声を荒げた力説に、辺りがざわつき始める。
途端、凛ちゃんの兎に引けを取らなくらいに愛くるしかった表情が、皮を剥いだ化け物のように豹変した。
ああ、あの時と同じだ。


「そんなのその子の自業自得じゃないの?」


鼻で笑い、私を見下すその目が怖い。


「はあ?」
「その子があんなことだけで疑心暗鬼になる、臆病なところにも原因があるんじゃないかって言ってんの。元々内気で本ばかり読んでたし、自分から話しかけてくることもなかったから、最初から友達作る気なんてなかったんじゃないの?」
「自分が同じことされてみなさいよ?平然としてられる?」
「られるけど何?そもそもアタシは黙って待つことしかできないそこの幽霊とは違う。そんな弱虫と一緒にしないで」
「アンタ、人の気も知らないで!」