村上。


村上宗一。


若干33歳で鉄筋関係の会社を経営している。


独立して3年だ。


まだ小さな会社だが、この不景気に、それなりにやっている。


今日はその村上とのデート。


スナック和で会う事はあても、プライベートで会うのは初めてだ。


アタシは待ち合わせの場所に20分遅れで着いた。


なかなか髪の巻きがうまくいかなかったからだ。


「遅れちゃってごめんなさい!!」


村上の車にちかずき、すぐさまそう言った。
 

窓ガラスを開け、村上はニコッと笑いながら、


「平気だよ。寒いでしょ。早く乗りなよ。」


アタシは肩に掛けていたバッグを肩から下ろし、両手に持ちかえると、ペコリとおじぎをした。


「何処か行きたい処とかある?」


静かに煙草を吸いながら村上が聞いた。


「・・・村上さんにまかせます。」


時間はもう夕方の6時だ。


あまり遠くへは行けないだろう。


「じゃあ、何かご飯でも食べにいこうか?」


「ハイ。まかせます。」