...


「飲み物、ビールでいぃ?」


杉田純一のハスキーな声。


麻波が帰ってから茜は杉田純一のマンションに来た。


無言の茜の前にグラスを置き、ビールを注いだ。

そして、


「茜、さっきはおかしいよ。女の子があんな場で言っていい言葉ではないだろ?」


茜は杉田純一の目をしっかりと見ながら、


「あたしの本心だもん。」


杉田純一は眉間にシワをよせた。


間をおかずに茜は言う。


「ジュンはあたしの事、何とも思っていないでしょ。けど、アタシはジュンの事が好き。だから、真実とジュンが仲良くしているのを見て許せなかった。」

...


茜は複雑な心境だった。


好きになってしまった人。


けれど茜を一人の女として見てくれない。


「ジュンはあたしを一人の女として見てくれない...。」


ゆっくりと瞬きをしながら茜は言った。