「今日はありがとうね。麻波ちゃんと飲めて楽しかったよ。」


幸男が満足そうな顔で言った。


送り間際のドアの外だ。


「こちらこそ。美味しいお寿司ご馳走様でした♪」


首を傾け軽く腰を落としながら言った。

「おやすみ。」


そう言うと幸男はタクシーに乗り込んだ。


「はい。おやすみなさい。また、一緒に飲みましょうね。」

アタシはタクシーに乗った幸男に手を振る。


...


バタン...


静かに店のドアを閉めた。


一つ呼吸を吐く。


そして、ゆっくりと、確実な足取りでアタシは村上のテーブルへと向かった。