出勤。


茜はただいたいの仕事を覚えた。


お酒の作り方。


火の付け方。


そそる仕草。


そして男の口説き方。


「じゃぁ麻波ちゃんと茜ちゃんは今真実ちゃんのついてる席をみて。」


酒焼けした声でママが指示した。


「失礼しまぁ~す♪」


茜がそぅ言い座る。

アタシも茜に負けじと満面の笑みをだす。


この席の客は真実をヒイキにしていた。

吉田社長。


小さな鉄鋼会社の社長だ。


吉田は金払いがよかった。


だから真実も懸命に吉田を接待する。


アタシはどぅにかこの吉田を自分に振り向かせたかった。


ただたんに真実の客と言う理由で。


「吉田さぁん♪真実今日はウイスキー飲みたいなッ。」


鼻にかかった声で真実が言う。


「じゃぁ好きなボトル入れていいよ。」

「わぁい♪真実嬉しい!」


相変わらずのボディタッチをしながら真実が言った。


真実は茜に目で合図をする。


ウイスキーのボトルを取りに行けと。


しかし茜は気付かないフリをした。


もちろんアタシも知らん顔だ。


真実は少しむっとした表情をし、自らボトルをとりに席を外した。


アタシと茜はその隙に吉田の隣を固めた。


勿論さりげなく。