「もしかして、瀬川さんもそう思ってました!?」

 慌てて口の中のものを飲み込んで、想像以上の驚きを見せた。

 しかし、なぜ胡桃ちゃんがそんなに驚いているのか。私としては、正直その方が疑問だった。

 今までの態度を思えば、どう考えても嫌われていた。ストーカーされても、嫌がらせされても、おかしくない勢いだった。


「んー、まあ、少なからず。」

 私は若干言いづらさを覚えながらも、ぎこちなく頷く。

 反応のない胡桃ちゃんをちらりと見ると、元々大きかった瞳がさらに大きく見開かれ、私に驚愕したような顔を向けていた。


「え、覚えてないですか?初めてシフト被った時。休憩まで一緒に出て、結構懐いてたじゃないですかー!」

 前のめりになって、目をパチクリとさせる彼女。私はその勢いに圧倒されながら、ふと視線を上に向けた。

 初めて胡桃ちゃんに会った時。思い返せば、たしかに半年前、そんなことがあったような気もしてきた。

「たしかに。」

「でしょー?胡桃、綺麗な人好きですもん!」

 そして、自信満々に言い切る彼女から、ぐっと圧を感じる。

「まあ、創さんが瀬川さんのこと好きだって言うのは、バレバレだったんで分かってましたけど。瀬川さんがフリーだって聞いたら、マズイと思って!だから、敵対心剥き出しにしていたのは認めます。」

「んー....。」

「でも、それはさっきまでの話です。」

 私は、口をあんぐりと開け、目が点になった。