「さっき、隠れて付き合ってるとかなんとか言ってたけど。あれ、本当の本当に勘違いだからね?」

 変な罪を押し付けられている。それも、こっちのセリフだ。

 そう思いながら、ムッとして言い返す。

「今日だって、最近ストーカーみたいなことされてて、それを知ってた創くんが心配して送ってくれてただけ。付き合ってたとかないの!」

 大学生と対等に色恋沙汰で揉めるなんて、何をしているのだろう。少々、恥ずかしさを覚えながら、大人気なくも強めの声を出す。

「うそ.....。」

 目を丸くする胡桃ちゃんを見て、少し満足した。


「本当。だってこの人、今、旦那(仮)とトラブル真っ只中だし。」

 その時、やっと口を挟んでくれた創くん。

「ちょっと、またそんな言い方して....。」

 また例のごとく、変な言い方をしてくれたものだけれど、胡桃ちゃんにとっては、彼の言葉が一番効いたようだった。


「えっ!?旦那?てか、(仮)って何??」

 暗い道のど真ん中で、大混乱の彼女。


 時計の針が11時を回った頃。

 私はそんな2人を連れ、なぜかその足で食事に行くことになってしまった。

 私のストーカー事件は、解決したように見えたものの、振り出しに戻る。そして、色々と食いついてしまった胡桃ちゃんに捕まり、夜はまだまだ長くなりそうだ。