「真佳、俺。アメリカの大学に進学する」

「────え……?」

「年明けに向こうで面接があって、多分そのままこっちには帰ってこないと思う」

「でも、でも学校とか、」

「三年の三学期はほとんど自由登校だから。課題の提出さえちゃんとすれば、卒業は認めるって今日言われたんだ」


お兄ちゃんはマグカップに視線を落とすと、握る手に力を込めた。


「神崎の叔父さん……は?」


お兄ちゃんは迷うように視線をさ迷わせたあと、少し困ったふうに眉を下げて私を見た。


「……真佳にはもう隠せないから、正直に言うね。アメリカへの進学するって決めた理由の半分は、叔父さんにそういわれたからなんだ」


冷水を浴びせられたような気持ちだった。

それは間違いなく、私のせいだ。


私との関係がばれたから、私とお兄ちゃんを離させるために叔父さんはそう言ったんだ。


まだ、まだこれ以上に、私はお兄ちゃんの人生を狂わせてしまうの?

また、お兄ちゃんに迷惑をかけてしまうの?