「じゃ、じゃが、誰も選んでないという意味では、今も同じじゃ……」

「選んだではありませんか。あの時、私を」

「……………は?」

「渡したでしょう。私に、光の剣を」

 大きな目を、アリギュラはぱちくりとさせる。

 ――そういえば。

〝わらわはいらぬ。どうしても必要だというなら、おぬしが持っておれ〟

〝よろしいのですか。私が、聖女の剣の預かり主となっても〟

〝構うも何も、好きにせい。わらわには、ディルファングがあるからな〟

〝かしこまりました。アリギュラ様が、そうおっしゃるならば〟

 魔獣を追い払った直後の会話が、脳裏に蘇る。言われてみれば、たしかにメリフェトスに聖剣を渡した。渡したというか、押し付けた。