「先程の襲撃、まほキスでは、聖女は攻略対象者のだれかひとりに助けを求め、一緒に魔獣を倒すイベントでした。そこで相手を光の剣の預かり手に任命することで、攻略ルートが決定されるのです」

「……は? つまり?」

「あのまま放っておけば、人間どもの誰かとアリギュラ様との恋愛ルートが、開かれてしまう恐れがあったわけです」

 ぽかんと、アリギュラは呆けた。なるほど。つまりメリフェトスは、主に迫る恋愛フラグをへし折るために、あのような暴挙にでたということか。

 けれどもすぐに、アリギュラはぶんぶんと首を振った。

「いやいやいやいや! わらわは、己ひとりの力で魔獣どもを追っ払ったではないか! 攻略対象者とやらの力を借りなかった時点で、恋愛フラグは折れていたのではないか?」

「違うのですよ、我が君。誰も選ばなかったら選ばなかったで、別のルートが開くのですよ。すべての攻略対象者が、あの時城や聖堂に集っていたわけではありませんから」