むっと、アリギュラは小さな唇を尖らせた。メリフェトスの所業は許し難いが、この世界の情報は欲しい。仕方なくアリギュラは一旦魔力を霧散させて、部下の言い分に耳を傾けることにした。

「ああ。たしか、王子のジークやら、その側近などがいるんだったな」

「左様にございます。王太子ジーク、近衛騎士アラン、王子の乳母兄弟で側近のルリアン。残りは第二王子や王宮魔術師など。先程の魔獣の襲撃は、そういった6人の攻略対象者のうち、どのルートに入るかの重要な分岐点だったのでございます」

 聞き慣れない単語に、アリギュラは首を傾げた。

 ルート。それは、分岐するパラレルワールドのようなものだという。どの攻略対象者をパートナーに選ぶか、それによって過程となる物語が大きく異なってくるらしい。

 そのパートナー選びが、先程の襲撃の一幕の中にあったという。