「……それは、大変失礼をいたしました。我が君の恋愛経験値が幼児レベルであらせられるのは重々承知しておりましたが、一切ご経験がなかったとは……。私の認識が甘すぎたようです」
「えぐるな、いじめるな。どうせわらわは、恋愛経験ゼロの脳筋魔王だ」
「ですが、だとすれば尚更、私の行動は正しかったと言わざるを得ません」
いじける主人をまっすぐに見つめ、メリフェトスは断言する。いらっとしたアリギュラの頭上で、ばちりと電気の火花が散った。
「……おのれ、我が鉄槌を喰らい足りないと見えるな??」
「ま、『まほキス』には、聖女のパートナーとなりうる6人の男――攻略対象者が登場する。そのことは、覚えておいででしょうか」
いまにも怒りの雷を落としそうなアリギュラに、メリフェトスが慌てて続ける。