……とはいえ、見れば見るほど、そそらない剣だ。
まず、形がよくない。見ようによっては繊細で芸術的ともいえなくないが、全体的にシルエットがひょろ長い。アリギュラの好みは、もっと実践向きなどっしりとした剣だ。
それに軽い。軽すぎる。こんな具合では、振り回しているうちに手からすっぽ抜けて、どこかに飛んでいってしまいそうだ。
何より、元も子もないことを言えば、光の魔力は好かん。徹底的に好かん。こればっかりは、魔族に生まれた者の性である。
口をへの字にして、アリギュラは光の剣を突き返した。
「わらわはいらぬ。どうしても必要だというなら、おぬしが持っておれ」
「よろしいのですか。私が、聖女の剣の預かり主となっても」
「構うも何も、好きにせい。わらわには、ディルファングがあるからな」
「かしこまりました。アリギュラ様が、そうおっしゃるならば」