「ええぇえ…………」
興がそがれて、アリギュラは半目になる。
しぶしぶ、メリフェトスが指し示す方向をちらりと見やる。……『覇王の鉄槌』の一部が直撃してしまったのだろう。聖教会の聖職たちが張った魔法壁もむなしく、城の壁には大きな傷跡が出来てしまっている。
ぷいとそっぽを向いて、アリギュラは唇を尖らせた。
「あれぐらいの傷、どうということもない。唾でもつけとけば治るじゃろ」
「そんな阿呆な。犬猫じゃあるまいし」
「そもそも、わらわには治せぬ。治癒だのなんだの、光属性の魔法は専門外じゃ」
「心配には及びません。こちらをお使いくださいませ」