さて。手始めには、こんなものか。

 心地よい疲労を感じながら、アリギュラはぐるぐると腕を回した。

 思ったより張り合いがなかったのは残念だったが、肩慣らしにはちょうどよかった。何より、勇者との激戦であえなく散ってしまった愛刀ディルファング。もしかしたらと思って呼び出してみたが、再びこの手に握ることができるとは嬉しい驚きだ。

 そんな風に達成感に浸っていると、「おーい」と誰かが呼ぶ声がした。

「アリギュラ様! アーリーギューラーさーまー!」

「メリフェトスか!」

 ぱっと顔をほころばせ、アリギュラは振り返る。するとアリギュラの一の腹心、メリフェトスが、危なげながらもこちらに飛んでくるところだった。

 ふらふらと健気に向かってくるメリフェトスに、アリギュラはけらけらと笑った。