(エルノア国とやらを、この世界の魔王から守るのが『まほキス』のクリア条件! ならば、人の子の手を借りるまでもない。キラキラその一の男も、キラキラそのニの男も、わらわには不要じゃ!)

「目をかっぴらいて見ておれ、メリフェトス!」

 おもちゃを見つけた子供のような無邪気な笑みで、アリギュラはびしりとメリフェトスを指さす。そうやって、ジーク王子を筆頭に唖然とする人々を置き去りに、アリギュラは勢いよく跳躍した。

「アーク・ゴルドより召喚されし魔王アリギュラ! この世界の魔獣どもと、手合わせして参るぞ!!」

「アリギュラ様ぁぁああぁあああ!?!?」

 メリフェトスの悲鳴が、ぐんぐんと遠ざかる。風を切り、アリギュラは意気揚々と飛翔し続ける。

 やがて彼女の小さな体は、宗教寺院のもっとも高い塔を見下ろすまでに至った。