「聖女様! 早くこちらへ! 君を安全な場所に移す!」

 よほどの緊急事態なのだろう。ジークの口調からは敬語が消え、青い瞳には焦りが滲む。

 思わず背筋を正すアリギュラに、ジークは手を差し出した。

「魔獣の群れが迫っている! いますぐ避難が必要だ!」