「……は? はぁあああああ!?」
一拍置いて意味を理解し、アリギュラは盛大に叫んだ。なんだ、それは。理不尽がすぎる。そのように目を剥くアリギュラに、メリフェトスは悲しげに首を振る。
「お気持ちは理解できますが、これが真実なのです。アリギュラ様はアーク・ゴルドから召喚された身。この世界に、魂が完全に根付いていないのです。魂を馴染ませる方法はただひとつ。『まほキス』のヒロインの役目を全ういただくよりほかに、道はないのでございます」
「横暴だ! 横暴にもほどがあるぞ、女神!」
「ごもっともです。私も、人間の男がアリギュラ様に触れ、あんなことやこんなことをするのを許すなど……。そもそもアリギュラ様は、外見と中身の乖離が激しい、とんでもない初心でいらっしゃるというのに……!」
「じゃかあしいわ! わ、わらわが初心かどうかなど、どうでもよかろう!?」
「いいえ。関係ございます。大ありなのです」
ずいと、メリフェトスが身を乗り出す。吸い込まれそうな青紫の瞳は、若干座っている。