流れるようにアリギュラの秘密をバラす男を、アリギュラは全力で止める。

 しかし今この男が口にしたことは、魔王軍の中でも四天王しか知らないトップシークレットだ。四天王の口は堅いし、魔族ならともかく、一介の人間が知りうるような情報でもない。だとすると、この男は。この、直視するには眩しいキラキライケメンは、本当に。

 目をすがめつつ、アリギュラは相手を上から下まで眺めまわす。それから彼女は、感慨深くため息を吐いた。

「おぬし、変わったなあ……」

「認めていただけますか、アリギュラ様!」

「認めるというか、認めざるを得ないというか」

 口をへの字にして、アリギュラはメリフェトスを観察する。隙もなく完璧に整った顔といい、シンプルだが色気を感じさせる服装という、これ見よがしにつけられたオシャレなモノクルといい。なんというか、盛り盛りである。属性盛り盛りな、イケメンである。