魔王アリギュラの下に集った魔族たちからなる、魔王軍。その中でもずば抜けて強大な力を持ち、軍の統率を任されていた最高幹部。それが、魔王軍四天王である。
四天王に連なる者には、それぞれ、西の天、東の天、北の天、南の天と地位が振り分けられている。特に西の天は、魔王が傾き苦しい時も最後まで支え共にする者として、最上の位とされた。
その西の天を冠する者こそ、魔王軍一の知将にしてアリギュラの腹心、メリフェトスである。
「あああ、アリギュラ様!! 再び御身のおそばにお仕えできるなんて、私、まるで夢のようでございます……!」
アリギュラの小さな手を取り、さめざめと泣くメリフェトス………と、名乗る人間の男。
メリフェトスの特徴であった、顔の半分、および体を覆っていた緑の鱗はなく、獲物を一瞬で貫く鋭利な尻尾もない。