お前の世界を救ってやる。

 そう豪語したアリギュラが、彼と口付けを交わしたあと。

 アリギュラは一面真っ白の世界にいた。何もない、それはもう、ただただ真っ白すぎる世界に、彼女は浮かんでいた。

(ここは……?)

 パチクリと瞬きをして――すぐに気づく。

 なにやら白いモヤをだして神秘的な雰囲気を装っているが、その奥にうっすら見える色とりどりのパッケージ。積み上がるそれらは見たことのない素材で出来ており、表面には様々なタイプの『イケメン』が描かれている。

 文字は読めないが、ニュアンスでわかる。やたらとウキウキし、ポップで華やかなこのデザインは。

その時、突如ぱぁんと破裂音が響いた。

「ゲームクリア、おめでとうございまーすぅ!」

 ぎょっと目を剥くアリギュラだったが、ついで聞こえたのは間延びした娘の声。驚いて固まっていると、ひらひらと紙吹雪が目の前を舞う。

 その先で、やたらダボダボの上下を身にまとった娘が、見たこともない小さな筒を手に、へらへらと笑っている。

 あまりに想像と異なる姿に、さすがのアリギュラも一瞬言葉を失った。