「どうして、そんな条件を呑んだ!? どうして、わらわに早く言わなかった!!」

「アリギュラ様……」

「……いや。今からでも遅くはない。そんなめちゃくちゃな要求がのめるか! 女神とやらに会うにはどうすればいい? 魔王狩りの次は、女神狩りじゃ! ふざけたことをぬかす女神を、わらわがけちょんけちょんのメタンメタンに……!」

「アリギュラ様」

 静かな声が、その名前を呼ぶ。その優しい響きに、アリギュラはますます泣きたくなった。

 アリギュラの小さな手を、大きなの手がそっと包み込む。そうやって彼は、満足げに吐息を漏らした。

「……召喚に応じる条件は、元の世界での死です。私はアーク・ゴルドでの最終決戦で、あなたをお守りできずに死んでしまった。本来ならば、私はあそこで終わりだったんです」

 でも、そうはならなかった、と。澄んだ瞳で天井を見上げ、メリフェトスは瞬きをした。

「人間の体、というのはいただけませんが、再びこの世界でアリギュラ様にお会いできました。お仕えし、お支えし、……これまで自分でも気づけなかった感情を、知ることも出来ました。そんな私に、何を悔いることがありましょうか」

「メリフェトス、じゃが……!」

「しかも、最期はあなたが見守ってくださる」

 その声の響きに、アリギュラは息を呑んだ。