無事エンディングを迎えた暁には、再び女神が世界を書き換える。そして、これまでメリフェトスがしたことをすべて、その男がしたことにする。それが条件ということか。
そこまで考えたところで、アリギュラははっと気づいた。
「おぬしはどうなる!? 攻略対象者から外れても、この世界に留まるんだろうな!?」
「言ったでしょう。この世界から消える。それが条件ですよ」
眉尻を下げて、メリフェトスは首を振った。
「私はイレギュラーです。本来、この世界には存在しないはずの者なんです。だから、あるべき世界の形に戻す。少しもおかしな話ではないでしょう」
「ぜんぶがぜんぶおかしいわ、この阿呆が!!」
たまらず、アリギュラは叫んだ。驚いたように目を瞠るメリフェトスを、涙で滲んだ瞳で睨む。
最初に言っていたではないか。この世界から弾き出されてしまったら、世界のハザマで魂が消滅してしまうのだと。
だから聖女の役目を果たせとアリギュラには言ったくせに、どうして自分のことにはそんなに無頓着なのだ。
腹立たしさと、やるせなさと。感情がぐちゃぐちゃになりながら、アリギュラは目の前の男をなじった。