じゃり、と。小さな足が、砂を踏む音が響いた。やはりか、と。カイバーンは笑った。
この状況で、アリギュラの狙いはひとつしかあり得ない。魔王サタンに対抗するための、唯一の武器。それを顕現させるための、切り札との接触。
ならばその手を、摘んでしまえばいい。
カイバーンは笑いながら、振り向きざまに剣を持っていない方の腕を突き出した。
「死ね、アリギュラ! 君に私は倒せない!!」
迸る魔力。次いで、爆発するように噴き出す光線。その熱線は、異界の魔王を跡形もなく焼き切った――
――はずだった。
「わらわ、一人ならな」
なぜか、真横から響いた声。続いて、頭から冷水を浴びせられたかのように、全身を支配する『死』の予感。
考えるより先に体が動く。とっさに剣を構えれば、ガキンと重い音が響いて、眩い光に包まれた細剣が打ち込まれる。その輝きに、カイバーンは驚愕に目を見開いた。