「はぁああああ!!」
ディルファングを構え、一気に飛び出す。魔力を用いて大きく跳躍したアリギュラは、そのままカイバーンに切りかかった。
「っ、無駄なことを!」
カイバーンの手元が光り、聖剣ロスロリエンが顕現する。空中でぶつかる、異界の魔剣と聖剣。衝動で、すさまじい魔力波が洞窟の中を吹き荒れた。
風に飛ばされないよう踏ん張りながら、アリギュラはにやりと笑って赤い瞳を光らせた。
(さすがに受け止めるか!)
甲高い音が響いて、剣が弾かれる。二撃、三撃と切り込んで確信する。強い。アーク・ゴルドでぶつかった時と同等か、それ以上だ。
その時、カイバーンが剣を引いて、かわりに片腕を突き出した。急速な魔力収縮と額にチリっと走る予感。とっさに体を捻れば、凄まじい熱量を孕んだ光線が、カイバーンの手から迸った。
「アリギュラ様!?」
「無事だ、たわけ!」
悲鳴に近い声をあげるメリフェトスに、短く答える。その隙にカイバーンはアリギュラから距離を取る。彼がばっと手を広げると、火のついた矢が空間いっぱいに浮かんだ。