新たに君臨する魔王として、彼は勝ち誇ったように声を上げる。

「手を結ぼう、アリギュラ! ともに忌々しい人間どもを、この世界から排除するんだ!」

 魔王サタンとして嗜虐的な笑みを浮かべるカイバーンと、やるせない表情で拳を握りしめるメリフェトス。そして、小さな体に見合わず、堂々佇むアリギュラ。

 期待と焦燥。洞窟の中に、相反する熱が同時に満ちる。

 それを打ち破るように、アリギュラはそっと息を吐きだし、答えた。

「いやじゃ」

「……は?」

「え?」

 カイバーンが拍子抜けしたように目を瞬かせ、メリフェトスが弾かれたように顔を上げる。それぞれが驚きの反応を示す中、アリギュラはふんと鼻を鳴らして髪を払った。

「なぜ、わらわが下る側なのじゃ。わらわと手を組みたければ、おぬしが下れ。跪き、頭を垂れよ。まったく。最近魔王になったばかりの新参者のくせに、ずうずうしくて困るわ」

「んなっ!?」