「邪悪な魔族が、作法を語るとはね。だが、いいだろう。貴様の言う通りだからな」
メリフェトスに照準を合わせていた魔力の波が消える。カツ、コツ、と、滑らかに磨かれた岩を打つ足音。徐々に近づいてくるそれに、メリフェトスはごくりと息を飲み込む。
薄闇に、背高の影が浮かぶ。最初に見えたのは、長いローブから覗く足。さらに前に進み出た事で、相手の全容が明らかになる。
ゆっくりと顔を上げたその者を見た時、メリフェトスは驚愕に目を見開いた。
「まさか。お前は――……!」
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